一般社団法人について


平成30年12月4日

一般社団法人について

 

≪ 12のメリット ≫

①. 法的要件を満たせば登記によって設立できる(準則主義)

②. 社員2名から設立できる(社員は法人でも可)

③. 設立の時に財産は必要なく、基金制度を採用できる

④. 出資金が不要で、社員は一般社団法人の債務について責任は負わない

⑤. 任意団体と違い法人格を持つ団体として信用力がつく

⑥. 同じく非営利を主目的とするNPO法人に比べて、制約が少ない

⑦. 設立にあたって官庁の許認可が不要である

⑧. 設立後も監督官庁がない

⑨. 事業に制限がなく、収益事業を主目的とすることができる

⑩. 公益認定等委員会へ申請することにより審査、認定を受ければ公益社団法人への移行が可能

⑪. 契約等を法人名義で締結できる

⑫. 法人名義で銀行口座を開設したり、不動産の直接の登記名義人になることができる

 

≪ 3つのデメリット ≫

①. 剰余金の分配はできない

②. 基本的に法人税がかかる

※ 非営利性が徹底されている社団又は共益活動を行っている社団のみ税制の優遇措置がある

③. 従来の社団法人・財団法人と異なり、官庁の認可がないため、通常の法人と同様に法的要件を満たして設立されている以上の信頼性は得られない

 

 

1. 一般社団法人とは?

一般社団法人は、2006年に始まった公益法人制度改革によって、それまでの社団法人に代わって設けられました。そして、2008年12月に施行された『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律』をもとに設立された社団法人のことを指します。

 

従来の社団法人は設立許可を必要としていましたが、一定の手続きと登記を経れば、官庁の許可を得なくても誰でも設立することが可能です。また、設立後も行政からの監督や指導がありません。

 

非営利法人であるけれども、事業内容は公益を目的に制限されていません。営利法人である株式会社などと同じように、収益事業や共益事業なども行うことができます。

 

ただし、営利法人である株式会社と異なり、設立者に剰余金または残余財産の分配を受ける権利はありません。つまり、利益分配はできません。そのような趣旨の定款は無効となります。

 

1-1. 社団法人の一つ

一般社団法人は、社団法人の一つです。社団法人には、「一般社団法人」と「公益社団法人」があります。

 

一般社団法人に比べ、公益社団法人になるには難しく、ある条件を満たして行政などに認可されなければなれません。

 

1-2. 株式会社とは違う

一般社団法人は、株式会社とは別の法人形態です。一般社団法人には、株券はありません。

 

関連記事:『一般社団法人と株式会社の4つの違いを徹底解説』

 

1-3. NPO法人とも違う

NPO法人(特定非営利活動法人)とも違う法人形態です。NPO法人は、『特定非営利活動推進法』で定めた範囲内での活動に限定されます。

 

一方、一般社団法人は『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律』の定めの範囲内での活動になりますが、株式会社でできるほとんどの活動が行えます。とても自由度の高い法人形態になります。

 

1-4. 一般社団法人は非営利団体

一般社団法人は「非営利団体」で、株式会社は「営利団体」です。

 

「非営利団体」と聞くと、利益を追求してはいけないと思われがちですが、決してそのようなことはありません。株式会社のように、利益を目的とした活動をしても構いません。一般社団法人は、株式会社のように利益を得て、いくら儲けても構いません。

 

活動の範囲は、株式会社ができることとほとんど同じと考えてよいです。

 

1-5. 非営利の考え方

「営利」「非営利」の考え方ですが、これは一般の私たちからすると随分、認識が異なります。

 

「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」で示されている「営利」という言葉の意味は、「利益配分」ということです。一般社団法人は、利益分配をしない、配当を出さない組織ということになります。

 

株式会社では、利益が出たら株主に配当を出します。一般社団法人では、利益が出ても社員に配当できません。ここが株式会社との大きな違いになります。

 

 

 

関連記事:『一般社団法人の非営利型とは|利益は追求しない』

 

1-6. 報酬を出せる

では、出た利益を配当にできないとなると、利益を出しても受け取れないことになります。それでは、完全なボランティアになってしまいます。

 

出た利益は発起人の設立時社員(株式会社の株主に当たる存在)に配当できませんが、一般社団法人を実際に運営する理事(株式会社の取締役に当たる存在)が理事報酬として受け取ることができます。

 

多くの協会では、一般社団法人が運営しています。その際、設立時社員と理事が同一人物であることが多くあります。社員としての配当はありませんが、理事が理事報酬を受け取ることはよくあります。もちろん、これは理事としての活動に対する報酬になります。

 

ちなみに、理事報酬の法律上の上限はありません。利益に応じて、高額な報酬を受け取ることも可能です。ただし、倫理上の問題もありますので、社会通念に従った金額にするのが妥当です。

 

1-7. 永く続く組織にするためにしっかり利益を出す

一般社団法人は、株式会社のようにかなり自由度の高い組織になります。一般社団法人法の意味は、「続くような社会貢献になる事業をしてほしい」という思いでもあります。しっかりと利益を出さなければ、事業を継続できません。お客様や会員さん、受講生さんのためにも、正当な利益を出して、長続きする事業を行えるよう一生懸命取り組んでください。

 

2. 一般社団法人設立の要件

株式会社と同じような活動ができる一般社団法人ですが、設立の要件などは多少の違いがあります。一つひとつ確認していきましょう。

 

2-1. 「一般社団法人」という名称を入れる

一般社団法人を設立するには、「一般社団法人」という名称を前後どちらかに(ほとんどが前です)つけなければなりません。

 

2-2.  社員の人数

一般社団法人を設立するには、2人以上の設立時社員(発起人)が必要になります。

 

一般社団法人の設立の際に2人以上の社員がいれば、設立後に社員が1名に減っても、解散になりません。ただし、社員が0名となった場合には、解散になります。

 

関連記事:『一般社団法人における社員の立場と役割まとめ』

 

2-3.  理事の人数

一般社団法人を設立するには、1人以上の理事が必要になります。

 

関連記事:『一般社団法人の理事とは?理事に関する9の項目と3の関連事項』

 

2-4.  絶対的記載必要事項

一般社団法人の定款では、以下の事項を必ずを記載しなければなりません。これを定款の絶対的記載事項と言います。

 

 一般社団法人の目的

 一般社団法人の名称

 主たる事務所の所在地

 設立時の社員の氏名または名称、および住所

 社員の資格の得喪に関する規定

 公告方法

 事業年度

 監事、理事会、会計監査人を置く場合には、その旨の定め

関連記事:『一般社団法人の定款の作り方と記載事項まとめ』

 

3. 定款の認証

一般社団法人の定款の認証は、公証役場で行います。定款を3部作成し、紙媒体で定款認証を行います。

 

認証の費用には5万円かかります。

 

定款の認証(数日かかります)を受けた後、法務局へ赴き、登記手続きを行います。

 

設立登記の登録免許税として、6万円かかります。

 

設立登記の申請をした日が、一般社団法人の設立日になります。実際には、そこから2週間前後で正式に手続きが完了します。

 

3-1.  一般社団法人設立の費用

一般社団法人の設立にかかる費用の内訳は、以下の通りです。

 

  公証人役場で定款の認証にかかる費用:5万円

  法務局に申請にかかる法定費用:6万円

  一般社団法人の実印や社員や理事の印鑑証明などにかかる費用:数千円

どんなに少なく見積もっても、12万円程度はかかります。

 

それ以外にも、人を雇うならば、人件費。事務所を構えるならば、不動産や家賃代。事務所で使う家具、および事務用のOA機器類、文房具代、提供するサービスに使う材料費などがかかります。

 

関連記事:『一般社団法人の設立費用はいくらかかるのか?』

 

3-2.  一般社団法人設立の必要書類

一般社団法人を設立するにあたり、必要となる書類は以下の通りです。法務局に提出します。

 

 定款

 一般社団法人設立登記申請書

 代表理事就任承諾書

 理事就任承諾書

 登記すべき事項

 設立時理事の選任及び主たる事務所所在場所の決定に関する決議書

 

4. 理事会の設置

一般社団法人を設立する際、定款の作成に2通りの方法があります。<理事会を設置する>という方法と<理事会を設置しない>という方法になります。どちらかを選択し、定款を作成します。

 

4-1. 理事会を設置しない

社員2名以上で、社員総会を行います。理事を1名以上決定します。

 

社員には、理事の任免権があります。

 

4-2. 理事会を設置する

社員2名以上で、社員総会を行います。

 

理事を3名以上決定します。そのうち1人が代表理事に就任します。

監事を1名以上決定します。(理事との兼任はできません)

 

社員には、理事の任免権があります。

 

理事会を行います。(報告義務があります)

 

5. 基金

一般社団法人の基金について見ていきましょう。

 

5-1. 資本金はない

実は、一般社団法人では、株式会社で使う「資本金」という言葉は存在しません。一般社団法人では、「基金(拠出金)」という言葉を使います。言葉が違うということは、意味や性格が異なります。

 

5-2. 社員から拠出してもらう

一般社団法人の基金は、社員や社員以外の人から、法人の財産を拠出してもらう法人のお金のことです。これは株式会社の出資とは性質が異なります。

 

5-3. 基金は貸付金

基金は定款に定めた要件で、返還の義務があります。貸付金になります。したがって、これは完全に法人の財産となるわけではありません。

 

資本金は、配当を目的とした金融投資です。基金は、法人の活動を支える財産です。資本金は、返還の義務のない性質のお金です。基金は、返還の義務のある性質のお金です。

 

5-4. 定款に記載しなくてもいい

一般社団法人の定款には、基金を記載する項目ありません。基金の項目を記した際には、その定めに従います。

 

登記やその他の準備にかかる費用は、社員が一時負担します。法人設立後に、繰延資産として計上することができます。

 

関連記事:『一般社団法人の資本金に関する5つのポイント』

 

6. 税金

一般社団法人にかかる税金について見ていきましょう。

 

6-1. 一般社団法人の法人税

一般社団法人にかかる税金は、株式会社と同じ法人税率になります。

 

ただし、一般社団法人の中でも、非営利型一般社団法人と判断されると、収益事業以外の収益に関しては、公益社団法人と同じ非課税となります。具体的には、受講料や会費などは非課税になります。

 

6-1-1. 一般社団法人の税金

 収益事業から生じた所得に対する法人税率は、30%

 所得金額が年800万円以下の金額は、18%

 

6-1-2. 公益社団法人の税金

 収益事業から生じた所得に対して課税、公益目的事業は、非課税。

 収益事業から生じた所得に対する法人税率は、30%

 所得金額が年800万円以下の金額は、18%

 

6-2. 一般社団法人の法人住民税

一般社団法人にかかる法人住民税は、株式会社と同じ均等割になります。

 

そして、これは個人事業主との違いになりますが、仮に収益が見込めなくとも、年間7万円の法人住民税はかかります。

 

関連記事:『一般社団法人の税金に関する6つのポイントまとめ』

 

7. 一般社団法人を立ち上げるメリット

一般社団法人を設立するメリットにはどのようなことがあるのかを確認しましょう。そして、自分がしようとしていることは一般社団法人に向いているかどうかをはっきりさせましょう。

 

7-1. 自由度が高い

例えば、前述した通り、一般社団法人の活動に関しては株式会社と同等の自由度があります。公益社団法人やNPO法人には活動の制限があります。事業を営むにあたっては、活動に制限がないほうがうまくいく可能性が高まります。

 

7-2. 申請がいらない

一般社団法人は、法人登記以外の申請などがありません。設立後に行政などへの許認可や報告義務がないので、制約が少なくなります。

 

7-3. 決断が早くなる

また、NPO法人(特定非営利活動法人)では、社員(発起人)が10名必要です。一方、一般社団法人では、2名で設立が可能です(本人と法人の場合は、1人でも可)。人数が少なければ少ないほど、意見が分かれずにスムーズな運営ができます。素早い決断と行動が可能です。

 

7-4. 公益社団法人に移行可能

いずれ、税制面での優遇措置を受けたいときがきた際には、公益法人への移行が可能になります。すると、一般社団法人から公益社団法人と名称が変わります。そして、営利活動以外は非課税になります。

 

7-5. 法人による信用がつく

それ以外にも、法人手続きが簡単であること。法人名義で取引ができること。社会的な信用を与えられること。設立費用が安いこと。公益的で聞こえがいいことなど、メリットがあげられます。

 

関連記事:『一般社団法人を設立する16のメリットと4のデメリット』

 

8. FAQ | よくある質問

ここでは一般社団法人について、よくある質問についてまとめました。

 

8-1. 一般社団法人とは何ですか?

一般社団法人とは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)に基づいて設立された社団法人のこと。一般社団法人は、設立の登記をすることによって成立する法人になります。

 

8-2. 一般社団法人を設立する方法や手順を教えてください。

一般社団法人の設立するための条件ですが、社員は最低2人、理事を1人以上置く必要があります。社員と理事は兼任できます。なお、法人も社員になれます。

 

資本金は、0円からできます。難しい条件はほとんどありません。

 

事業目的も制限されていません。株式会社などの営利企業と同様、法令に違反しない限理、どんな事業でも行うことができます。

 

一般社団法人の名称、事業目的、所在地等を決めて、社員で定款を作成し、公証役場で認証を受けた後に、管轄の法務局へ設立登記の申請を行うことで設立が可能です。

 

8-2-1. 社員2人

設立時社員(法人成立後、最初の社員)を2名以上(法人でも可)を決めます。

 

8-2-2. 定款を作る

社員、もしくは司法書士や行政書士によって、定款を作成します。

 

なお、定款に記載しなければならない事項は、以下の通りです。

 

 目的

 名称

 主たる事務所の所在地

 設立時社員の氏名又は名称及び住所

 社員の資格の得喪に関する規定

 公告方法

 事業年度

 

8-2-3. 公証人の認証

作成した定款を持って、社員全員(委任状でも可)で公証役場に赴き、公証人の認証を受けます。

 

8-2-4. 法務局に申請

法人を代表する設立時理事が、主たる事務所の所在地を管轄する法務局に設立の登記の申請を行います。

8-3. 一般社団法人の社員について教えてください。

一般社団法人の設立時社員は2人以上必要です。法人でも可です。

 

一般社団法人の社員は、法人の重要事項を決定する社員総会において、議決権を行使することができます。

 

社員総会とは、毎年事業年度終了後に行われる定時社員総会、あるいは、役員を選任する際などに行われる臨時社員総会を指します。一般社団法人の社員は、この社員総会において、決算書の承認をしたり、新しく役員を選任したりします。

 

設立後に社員が1人だけになっても、その一般社団法人は解散しません。社員が0人となった場合には、解散することになります。

 

8-4. 一般社団法人の社員総会では、何を決議しますか?

一般社団法人の社員総会は、一般社団法人の種類によって決議する内容が異なります。

 

8-4-1. 理事会を設置しないタイプ

理事が1人以上の一般社団法人です。

 

一般社団法人のすべての事項について、決議をすることができます。

 

8-4-2. 理事会を設置するタイプ

理事が3人以上、うち1人が代表理事、および監事が1人以上の一般社団法人です。

 

法に規定する事項、および定款で定めた事項に限り、決議をすることができます。

 

8-5. 一般社団法人が行う事業の制限について教えてください。

一般社団法人が行うことができる事業には制限はありません。

 

8-5-1. 収益事業ができる

一般社団法人が行うことができる事業には制限はありません。公益的な事業、町内会・同窓会・サークルなどの運営を目的とする事業も行うこともできますし、あるいは、株式会社のような収益事業を行うこともできます。一般社団法人が収益事業を行って、その利益を法人の活動経費に充てることは、まったく差し支えありません。

 

8-5-2. 利益分配はできない

株式会社のように営利を目的とした法人ではないため、社員や理事が剰余金の分配を受けることはできません。

 

8-6. 一般社団法人の基金の制度について教えてください。

基金とは、一般社団法人(一般社団法人の成立前にあっては、設立時社員)に拠出された金銭や財産のことです。一般社団法人が拠出者に対して、双方間の合意の定めるところに従い、返還義務を負うものとされています。

 

8-6-1. 拠出者=社員ではない

基金は、一種の外部負債です。基金の拠出者の地位は、一般社団法人の社員の地位とは結びついていません。

 

社員が基金の拠出者となること自体は可能です。社員が基金の拠出者にならないことも可能です。

 

基金制度は、剰余金の分配を目的としないという一般社団法人の基本的性格を維持しつつ、その活動の原資となる資金調達を意味します。

 

8-6-2. 基金の項目は定款に記さなくてよい

『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律』では、基金制度の採用は義務付けられていません。したがって、定款の記載事項には入っていません。基金制度を採用するかどうかは、社員が決めればよいです。

 

8-6-3. 基金の使途は自由

基金として集めた金銭などの使途は、法令上の制限はありません。一般社団法人の活動の原資として自由に活用することができます。

 

8-7. 一般社団法人は合併することができますか?

一般社団法人は、他の一般社団法人、または一般財団法人と合併をすることができます。

 

合併後にどちらか存続する法人でも、新規に設立する法人のどちらでも可能です。ただし、以下の規則に従わなければなりません。

 

8-7-1. 一般社団法人と一般社団法人の合併

合併をする法人が、一般社団法人の場合には、一般社団法人でなければなりません。

 

8-7-2. 一般社団法人と一般財団法人の合併

合併をする法人が、一般財団法人の場合には、一般財団法人でなければなりません。

 

8-7-3. 一般社団法人と株式会社の合併

一般社団法人は、株式会社と合併をすることはできません。

 

8-7-4. 一般社団法人と特定非営利活動法人(NPO法人)の合併

一般社団法人は、特定非営利活動法人と合併をすることはできません。

 

8-7-5. 合併の特殊例

合併をする一般社団法人が、合併締結の日までに基金の全額を返還していないときは、合併後の法人は、一般社団法人でなければなりません。

 

8-8. 一般社団法人の解散について教えてください。

一般社団法人は、以下の場合に解散します。

 

 定款で定めた存続期間の満了

 定款で定めた解散の事由の発生

 社員総会の決議

 社員が欠けたこと

 当該一般社団法人が消滅する合併をしたとき

 破産手続開始の決定があったとき

 解散命令又は解散の訴えによる解散を命ずる裁判があったとき

 

8-9. 一般社団法人を設立するにはいくら掛かりますか?

法定実費として、定款の認証手数料が約5万円、登録免許税が6万円かかります。従って、計11万円です。

 

登記には法人の実印も必要となります。法人の実印は、数千円から~2万円が相場です。

 

また、専門家に設立手続きを依頼する場合には、その手続き報酬が必要になります。

 

8-10. 一般社団法人は従業員を雇えますか?

一般社団法人でも従業員を雇えます。

 

従業員を雇う際には、株式会社と同様に、従業員の社会保険や労働保険の加入など、雇用後の手続きが必要になります。

 

8-11. 一般社団法人の役員報酬はどのように決めればいいですか?

一般社団法人の役員報酬は、定款または社員総会の決議で決めます。

 

一般社団法人の役員、すなわち理事や監事の報酬は、定款で直接定めることができます。あるいは、社員総会の決議で決めることができます。一般的には、役員報酬の総額だけを社員総会で定めておき、各役員に支払う具体的な報酬額については、理事会の決議において決めると良いでしょう。

 

8-12. 一般社団法人は税金の優遇がありますか?

一般社団法人は税金についてですが、一般社団法人は株式会社と同様に、すべての所得が課税対象になります。

 

8-12-1. 非営利型一般社団法人は優遇制度がある

一般社団法人の中でも、非営利型一般社団法人の要件を満たせば、会費や寄付金・基金による所得は非課税対象となります。収益事業による所得のみが、課税対象となります。

 

8-12-2. 非営利型一般社団法人の要件

非営利型一般社団法人は、利益が出た場合に剰余金の分配を行えません。さらに、解散した場合でも、手元に残った財産は国や地方公共団体等へ寄付することなどをあらかじめ定款に定めなければなりません。

 

また、理事は3人以上置く必要があります。そして、親族が理事になる場合には、理事の総数の3分の1以下になることも条件になります。

 

会員の会費によって事業を行う共益的活動を目的とする一般社団法人では、上記に加え、会員に共通する利益を図る事業を行うことを目的とします。主たる事業として、収益事業は行わないこと、定款に会費の定めがあることが必要になります。

 

8-13. 一般社団法人に向いている事業内容は何ですか?

一般社団法人に向いている事業内容は、理念、つまり、共通の目的のために集まって活動する団体に向いています。

 

一般社団法人は非営利法人なので、営利が主体ではなく、会員制の組織に向いている法人になります。

 

例えば、ボランテイア活動をしている団体を法人化したい場合、同好会やサークル活動などを法人化したい場合、学会や研究団体を法人化したい場合、そして、資格講座や検定試験を法人化したい場合などに向いています。

 

8-14. 資本金がなくても設立できますか?

一般社団法人には、資本金は要りません。したがって、資金が少ない場合でも、志があれば、設立が可能です。

 

しかしその場合、設立間もない頃には、法人には収入がないので、法人の活動を行うにあたっては、必要な経費は社員が負担します。

 

8-14-1. 資本金ではなく、基金

しかしながら、一般社団法人を運営していくためには、一定の資金が必要になります。

 

資金調達の手段として、基金制度を設けることができます。

 

一般社団法人では、資本金とは言わず、基金と言います。

 

8-15. 社員と理事の違いは何ですか?

一般社団法人の社員と理事の違いがよくわからない人もいると思います。簡単に言ってしまえば、社員は法人の構成員で、理事は法人を運営する人、になります。

 

理事は、社員総会で社員によって選任されます。社員総会以外で理事が選ばれることはありません。したがって、理事を選ぶ権利を持っているのは社員の方が、理事よりも立場が上ということになります。(ちなみに、社員と理事を兼任していることがよくありますが、立場上はまったく別になります。)

 

8-15-1. 社員・理事の任期

社員に任期はありません。理事には任期があります。

 

理事の任期は、原則2年です。(ただし、定款の定めに準じます。)

 

8-16. 一般社団法人とNPO法人(特定非営利活動法人)の違いは何ですか?

一般社団法人とNPO法人を比較したときメリット・デメリットは、以下の通りです。

 

一般社団法人は、設立に必要な時間・人員的制約が少なく、比較的自由に活動できます。一方では、設立費用がかかり、設立後の補助金のサポートの種類が少ないという特徴があります。ただし、非営利型一般社団法人での設立は、税制面の優遇があります。

 

NPO法人は、設立に時間的・人員的制約が掛かります。具体的には、行政の承認など、設立までに半年程度の日数を要し、発起人が10人以上必要となるため、機動力に欠きます。しかし、設立後に補助金やサポートや税制優遇を受けられやすい特徴があります。

 

8-16-1. 一般社団法人のメリット

 設立に時間がかからない

 発起人が少ない

 役員の親族規定がない(普通型一般社団法人の場合)

 活動内容の制限がない

 活動内容を外部に開示する必要がない

 

8-16-2. 一般社団法人のデメリット

 設立に費用がかかる

 補助金や支援プログラムの種類が少ない

 税法上の優遇が受けられない(普通型一般社団法人の場合)

 

8-16-3. NPO法人のメリット

 設立に費用がかからない

 補助金や支援プログラムの種類が多い

 税法上の優遇がある

 

8-16-4. NPO法人のデメリット

 設立に時間がかかる

 設立に発起人が多く必要になる

 役員の親族規定がある

 活動内容に制限がある

 所轄庁への事業報告や情報公開等の義務がある(活動内容をオープンにしなければならない)

一般的には、補助金のような外部支援をとるよりも、法人の目的を全うするために活動の自由さを求めるほうが、結果的にメリットがある場合が多いです。

 

8-17. 一般社団法人の略語は何ですか?

一般社団法人の略は、「(一社)」と書きます。現在は、「(社)」は使いません。ただし、銀行ATMの振込では、(シャ)を使います。公益社団法人は、(公社)です。

 

ちなみに、一般社団法人の呼び方ですが、「貴法人」になります。その一般社団法人が協会ならば、「貴協会」、委員会ならば、「貴委員会」となります。

 

合わせて、一般社団法人の代表理事や理事を呼ぶ際には、「貴職」になります。

 

8-18. 一般社団法人は英語で何と言いますか?

一般社団法人の英語は、「general incorporated association (foundation))」です。「institute」と表現することもあります。

 

8-19. 一般社団法人の定款の雛形はありますか?

以下は、一般社団法人の雛形のサンプルです。

(削除)

 

9. まとめ

これからの企業のあり方の大きな役割の一つに、社会性ある活動があります。世の中の役に立つ、人のためになる活動は、ますます求められてくるでしょう。一般社団法人を設立して活動するということは、そういった具現化することでもあり、新しいリーダーシップの姿であるとも思っています。理念に溢れた素敵な一般社団法人を設立し、世の中から求められる存在になりましょう。

 


一般社団法人についてQ&A

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